Motorhead Studies
Ace of Spades 歌詞分析

 モーターヘッドの名曲「エース・オブ・スペイズ」。
 歌詞を分析する前に、いくつかの説明をしておきたい。
■スペードのエース
 まず、<スペードのエース>について考えてみたい。

 スペードは、剣を図案化しており、騎士、王侯・貴族を象徴している。

 だが、一方では、デスカードとも呼ばれ、死を象徴し、不吉なものとされている。
 実際、レミー将軍も「スペードのエースは、Bad luck(不運、悪運)だから」と語っており、インパクトあるモチーフだったことが分かる。

 また、エース=1のイメージもあるが、1と言うよりは、切り札や絶対的な強さを意味している。


 髑髏や鉄十字がアウトサイダーのシンボルとして用いられたように、スペードのエースも縁起の悪いものだからこそ、モーターヘッド的アウトサイダーの象徴として用いられたのだろう。自分たちが何者であるかを示すシンボルなのだ。

■Seven or Eleven
 セブンイレブンというサイコロを壁に投げて、出た目を競うギャンブル。文字通り、7と11がもっとも強い。
■Snake Eyes
 これは、爬虫類の蛇ではなく、サイコロの目を意味している。
 ピンぞろ、2つのサイコロが両方とも1の目になっている状態。
 もっとも少ない数値なので、縁起が悪いものとされている。
 赤い目をした蛇に睨まれちゃったみたいな感じかな。
■Joker
 ブレイク部分で、自らの運命を語った後、<And don't forget the Joker!>と言い放たれる。

 このジョーカーは、ジョークや気楽さという意味もあるだろうが、大事なことや大切にすべきものなどを意味しているとも考えられる。また、ジョーカーはエースに対立する存在であり、エースになるか・ジョーカーになるか、勝者になるか・負け犬になるかはギャンブル次第とも読める。

 だが、<And don't forget the Joker>と歌われていたのは、初期のころだけで、1980年代後半には、「Don't forget Bastards!」に変わり、1991年あたりから現在までは、この詞の語り手がレミー将軍自身であることを示唆するフレーズに変わっている。

 この歌を聴いた人のほとんどが、レミー将軍自身の人生観だと感じていたに違いないが、どうやら、それは正しかったようだ。
■Dead Man's Hand
 これは、死者や悪魔という意味ではなく、ポーカーの組み合わせである。

 <デッドマンズ・ハンド>とは、エースと8のツーペア。1876年のアメリカ、連邦保安官ワイルド・ビル・ヒコックが、背後から撃たれて、死んだ時に手にしていたカードの組み合わせから、こう呼ばれるようになったという。

 余談だが、同アルバムに収録されている「Shoot You in the Back」は、ここから来ているとも考えられる。

 昔、私はドラクエのマドハンドのような悪魔の手をしたモンスターを想像していましたが、違いますよ。
■歌詞分析
 では、実際に歌詞を分析してみよう。ただし、ここでは訳文を掲載せずに、私の解釈を書いた。

 この曲は、ポーカーとギャンブルを使い、人生観について歌っている。

 1番は、<自分>について。
 他人がどうであろうと、動じない。何を言われても、俺は変わらないという決意。

 2番は、<あなた>について。
 悪事を働こうが、周囲に合わせようが同じこと。あなたはどう生きるのかを問いかけている。

 ブレイク部分では、<自分の運命>を語っている。
 アウトサイダーの末路を分かっていながらも、自分の生き方に後悔はないという覚悟。

 3番は、<あなたの運命>について。
 後悔しても遅い。あなたもどうするべきか分かっていたはずだと。自分の生き方を薦めているようにも思える。

 ギャンブルの賭けるという行為は、自分自身の可能性に賭け、自分らしさを追求することとも重なる。

 つまり、自分の信念を貫く決意、その結果どうなろうとも自らが受け止める覚悟を歌っている。

 聴く人それぞれの人生に重なるだろうし、その時の心境によって、捉え方も違ってくるかもしれない。人生のヒントを得られる哲学的な詩なのである。

 何かに悩んだ時、心の中で「ジ・エース・オブ・スペイズ」とか「アイ・ドント・ワナ・リヴ・フォーエバー」と唱えると勇気が湧いてくるのは私だけでないはずだ。悩みや迷いもふき飛ばしてくれる1曲だ。(2010/09/24)

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