小腸の働き

栄養吸収の主役、小腸。ほとんどの栄養素はここで吸収される。


とんでもない表面積で栄養分をしっかり吸い取る

胃で粥状になって送り出された食物は、小腸で本格的に消化、吸収されます。
小腸は胃の幽門から続く「十二指腸」、次に「空腸」、大腸へ続く「回腸」の3つに分けられ、消化、吸収の9割をここで完了。まじめな働きものなんです。

小腸の各部位の名称

日本人の小腸は平均7mあります。これにはびっくり、思わず自分のお腹を眺めてませんでしたか?実際は3mほどに縮んで収まっています(それでも十分に長いけど)。 この消化管の壁は蛇腹のようなひだになっていて、さらにその上に絨毛(じゅうもう)と呼ばれる細かい毛がびっしり生えています。この細かい毛すべてに毛細血管が通っていて、そこから栄養分を吸収しています。この表面積を測ったとしたら約200m2、表面積はテニスコート2面分にあたります。 この長い消化管を数時間かけて旅するうちに、たいがいの食物は扱いやすいように加工吸収され、栄養分は肝臓に、残り物は大腸に送られていきます。


絨毛の顕微鏡写真




分解担当の十二指腸、吸収担当の空腸、回腸

指を12本並べた長さなのでこの名前がついたという十二指腸は、全長30cmという短さ。ここではあらゆる消化ホルモンを分泌して栄養分を分解しています。 アルカリ性の液を分泌し、胃で酸性にされた食物をしっかり中和させて無害なpHに整えます。
次に膵臓(すいぞう)から送られてきた膵液(すいえき)を食物に振りかけます。同時に胆嚢(たんのう)からの胆汁も混ぜ込んで、炭水化物、たんぱく質をさらに分解し、脂肪を吸収しやすい姿に変化(乳化)させます。短いけれど仕事はハードなのです。 続く空腸、回腸では、うねうねとしたぜん動運動で消化物から栄養を吸い取ります。このとき、口から飲んだ水分、各消化液あんどで10リットルもの水分が食物と一緒に流れています。小腸を出るころにはその8割が吸収されています。 小腸での消化物の滞在期間は約3〜5時間です。胃や大腸に比較すると、長い距離の割には速足で通り抜けていきます。そのためか十二指腸潰瘍以外、小腸のトラブルはあまりありません。

pH(ペーハー)
pHとは、水溶液の酸性度やアルカリ性度を測る単位のことです。pHは0〜14まであり、pH7が中性です。pH7よりも数値が小さくなればなるほど酸性度が高くなり、数値が大きくなればなるほどアルカリ性度が高くなります。



体力低下を招く腸の病気は自覚しやすい。早めの治療を

トラブルの少ない小腸ですが、十二指腸は胃酸の影響を受けて炎症をおこしたり、潰瘍になることがあります。原因はストレスの場合が多く、空腹時にキリキリと痛みます。 腸の表面や空腹の内側を覆っている腹膜はとても薄く、細菌感染などで炎症を起こす腹膜炎になることがあります。 下痢や便秘の症状を繰り返すのに腸に異常がみられないことを過敏性腸症候群といいます。 職場や学校が近づくとお腹が痛くなるなど、精神的なストレスが原因になっていることが多いので、まずはストレスを解消し、消化吸収の良い食事を心がけます。 ゴムホースが折れ曲がったように腸がなんらかの原因で曲がり、消化物が通りにくくなるのを腸閉塞(ちょうへいそく)と言います。 強い痛みがあり、嘔吐(おうと)や便秘の症状があります。


腸のX線写真

下部消化管X線検査
(下腹部をX線撮影して大腸を写し出し、病変を発見する検査)

小腸から続く盲腸の先にある虫垂(ちゅうすい)というのは、小指より細い先の閉じた腸管で、ここに炎症が起こるのを虫垂炎といいます。 これは腸内細菌による感染が主な原因で、腹痛、発熱があり、右下腹が痛くなります。以前は手術で切り取っていましたが、いまは抗生物質の内服で治るようになりました。 初期には自覚症状がなく、進行すると便秘や下血などの症状が現れる大腸ガンがあります。原因として考えられるのは欧米型の食生活にあると言われます。 脂肪や動物性たんぱく質ばかりとるのではなく、バランスのとれた食事を心がけましょう。




次⇒ 腸(大腸)



このページの上へ
00002.gif (835 バイト)
腸と栄養の奇跡ブログのトップへ




戻る インデックスへ 次へ

copylight.gif (1716 バイト)

総アクセス数