初心者は、チェック

PDF(＝Portable Document Format)とは、米Adobe Systems社が開発した電子文書配布用のデータ形式です。

　作成時に使ったソフトやフォントがＰＤＦの配布先にあろうとなかろうと、配布先のコンピュータがWindowsであろうとMacintoshであろうと、ＰＤＦ書類は、配布先で元データと同様に表示され、プリントアウトすることもできます。

　PDF書類のデータ量は、きわめて軽いのですが、イメージセッタで出力できる品質を持っています。PDFは、インターネットによる電子文書配布はもちろんのこと、ネット上での校正までも簡略化させます。

　ＰＤＦは、リリースが先行した欧米では、その活用が急速にすすみ、すでに、税金の申告書などがPDF形式の電子書類で配布されています。

　１９９７年に京都で開催された地球温暖化防止会議では、NGO（民間活動団体）が、ＰＤＦを主体にめざましい広報活動を展開しました。読売新聞は当時のことを次のように取り上げてています．

　「このDTPデータを仮に印刷して発送したら，どれだけのコストと時間がかかったでしょうか。
コストだけでなく、印刷、校正、配送、といったプロセスは、まさしく地球温暖化を促進する元凶です。PDFを積極活用するＮＯＧの広報活動は、環境問題を考える市民運動として、非常に素晴らしい方法といえるでしょう。」

　ＰＤＦの登場は，デザインの現場を大きく変えて行きます。

　白鳥氏（男性，４４歳）は、Macintoshを駆使したプロフェッショナルデザイナーである。郊外のマンションの一室に、事務所を構えています。郊外のため、都内に出るには時間がかかります。クライアントとの打ち合わせは、一回ですませたいのですが、そうもいきません。

●PDFがなかったころ

●PDFが登場してから

編集者）「白鳥さん元気？　仕事ヒマ？　やっと、うちにもインターネットが入ったんでこの前のカンプをもう一度、通信で送ってもらえない？簡単に送れるんでしょ？」

白鳥氏）「ご冗談を！あのデータは５０メガあるんですよ．うちのモデムで送ったら、４時間以上かかります」

編集者）「エ！４時間？そんなにかかるの？何だって通信がそんなに遅いの？」

白鳥氏）「通信で送るデータは、１メガまで。高速の専用線を引いているなら別だけど、それでも大きなデータを送ると数十分かかりますよ。それにたとえ送れたところで、そちらに同じアプリケーションソフトやフォントはあるんですか？どうにもなんないじゃありませんか。」

編集者）「ソフトやフォントがこっちにないと開けないって？　そりゃそうだよね。でも、こっちのマシンは、なんてったって、あのマイクロソフトのＷindows９５なんだけど、それでもダメ？」

白鳥氏）「はあ・・・Windowsマシンだったんですか・・・・（絶句！）」

白鳥氏）「フ、フ、フ、ＰＤＦつうのがあるんですよ。元データは５０メガあっても、ＰＤＦにしたら９００キロバイトになっちゃうんですよ！オリジナルデータの50分の1以下。28.8kbpsのモデムで４分で送れるでしょう。」

編集者）「すごいですね。でも白鳥さんのところはMacでしょう．うちのはWindowsマシンなんだけど、大丈夫ですか」

白鳥氏）「書体は Windows用のフォントに置き換えられますが、レイアウトは崩れません。それより、Adobe Acrobat Reader 入ってますか？ＰＤＦは環境には依存しませんが、Acrobat Readerがないと表示ができないんですよ。」

編集者）「はい、この間、雑誌のCD-ROMから手に入れました。インターネットから無料でダウンロードもできるんですよね。」

白鳥氏）「じゃ、これから私のホームページ上に、ＰＤＦデータをアップロードしますから、ダウンロードしてください。」

編集者）「え！待って下さいよ、Web上だと、他の方にも見られてしまいませんか？ちょっと人には見せたくないデータなんだけど。」

白鳥氏）「だいじょうぶ、ＰＤＦ書類にはパスワードが設定できますから、"○○○○"と入力してください。」

・・・・・・・

２０分後、担当編集者から再び電話が、ある。

編集者）「すごいですよ、本当に奇麗に表示されますよ。それに、文字がつぶれてない、これだったらＰＤＦ電子本というのも出来るかもしれないな・・・」

白鳥氏）「もう、私なんて自叙伝をＰＤＦでつくってますよ。ＰＤＦ先取り時代の到来ってことかな。」